SSブログ

自動運転なんてイヤ! [アニメを作る]

タイトルは自動車ですが、
今回書き込むのはアニメ制作のお話し。

まずはこの記事を読んでください。

『「アニメの絵を自動で描く」AIが出現
 ーーアニメーターの仕事は奪われるのか?』


ま、要するに、
アニメ制作の自動化により、制作現場を救おう、的な話し、ですね。

いま、このエントリーを読んでいるあなたは
アニメーションに興味のある人でしょう。

先の記事を読んで、どう思ったでしょうか?

私はアニメーション作品の演出を生業としています。
その観点から言わせてもらいます。

自動化なんて糞食らえ!


簡単に例をあげましょう。

寿司を握れる機械が開発されました。
器用にシャリを整形してくれます。
(ホントにあるよ)
でも、ネタを切って乗せることはできない。
さ、頑張ってそこを自動化しましょう。

ということ。

機械で握った寿司、食べたいですか?

私ならよほど安くない限り食べようとは思いませんし、
食べさせたいとも思いません。

アニメ制作は”作業”ではなく、『創造』です。
機械には創造はできませんし、
機械に作れる程度の内容ならその品質は推して知るべし。

技術の進歩はめざましいものですが、
仮に創造できる機械が現れるとして、
それはまだまだ先の事でしょう。

実際、記事にあるツールはいずれも、人の手による作画を超えるものではありません。


さて、タイトルには自動運転を挙げましたが、
実は自動車の自動運転なんて、もうとっくに実用化できるレベルにあります。

それなのに商品にはできない。
”問題”は技術そのものにあるのではなく、
それを取り巻く環境にあります。

技術だけで語れるのならハナシは簡単。

目的地へ人や荷物を運ぶ、という
明確な目的があるにもかかわらず、
だから自動車の自動運転化はとても難しい。

アニメはどうでしょう?

アニメーション作品を作る上で、明確な指針なんて存在しません。

良いものを作ろうと思えばどこまでも追求していける。
逆に妥協もいくらでもできる。

機械に良いものを作らせるのが難しいのなら、
それをツールとして選択した時に
作品のクォリティレベルがある程度決まるのです。

それで納得できる人はどうぞ、楽しんでください。

私はイヤです。
創造することを放棄したくないし、
受け取る側にも妥協して欲しくない。

リンク先の記事は、現場の高効率化を図って作業者を救おう、という内容ですが、
そもそも自動化を前提としている時点で見方が偏っている。

良いものを作るためにはどうすれば良いか、を考えるのが本質。

言い換えれば、効率化を考えなければならないほどアニメ業界は追い詰められているのです。

アニメ業界を守るためには、ー

ま、カネ、ですね。

制作費を一桁上げる。
そして(短期的には)作品数を減らす。

でも、そんなことは夢。

金が欲しい業界は他にもたくさんある。

日本という国は、ものの価値を安く見積もることで成り立っているので。


まあそんなワケで、
アニメーターの仕事は奪われません。

全国の創造的な若者よ、
業界に飛び込んで一緒にカップラーメンを啜ろう!
nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:アニメ

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:[必須]
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。