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異国の夕陽 [旅]

無錫入から6日。
初めて誰の案内も無く職場との間を往復しました。

急がず歩いて45分ほどでしたから、
うーん、4km弱、でしょうか。

見るもの全てが新鮮でしたからそんなに苦にはなりませんでしたが、
慣れたら面倒に感じる距離でしょうね。

ただ歩くだけなら大きな問題には遭いません。
…いや、まあちょっと鬱陶しいものはあるんですけどね。

中国と言えば『人民服と自転車』なんて考えている人はさすがにもういないでしょう。
(外国人が「日本と言えば『サムライ・ハラキリ・ゲイシャ』」と言ってるのと同義)

実際、自転車はそれほど多くはありません。個人所有のものは。
レンタサイクルが恐ろしく普及していまして、町中の至る所に自転車ステーションがあり、
町中の至る所に規則を破って乗り捨てられたレンタサイクルが放置されています。
人が乗っていてもいなくても、コイツ等がまあ邪魔。

でも、そんなヤツらもまだ可愛い方で、
本当に手が付けられないのは『電動スクーター』なんです。

恐らく環境保護の一環でしょうが、中国の大都市では
内燃機関を動力とするオートバイは原則、使用してはいけないらしいんです。

代わりに台頭して来たのが充電式バッテリーをエネルギーとした
モーター駆動のスクーター。
基本的に適用される法律が無いようで、
日本で言う自転車よりも自由気侭に走っています。
スピードが出る、音がしない、誰でも乗れる(詳しい条件は知りません)、
そんなスクーターが道路でも歩道でも右も左も好き勝手に走り回るんです。
しかもなぜか、ヤツらは夜間でもライトを点けない!
あまりにも危険な存在です。

では、そんな自転車と電動スクーターがどのくらいの数あるのかというと、
DSC05001.jpg

まあ、これでも少ない方かな。
ちなみにここは無錫の中心街の一角です。

さて、無錫(むしゃく)という都市は上海の西、200kmくらい離れた場所にあります。
どんなところかと来てみたらまあ、結構な都会で。
DSC05002.jpg

運河とかもあってまあ、奇麗なところ、らしいです。
DSC05003.jpg

私は異国に行くと、やはりどうしても道路事情に興味が行ってしまいます。
特に、どんな車がどういう風に走っているか。

今回の前に中国に来たのは3年半ほど前でしたが、その時とも少し、印象が変わりました。
日本車は多くも少なくもなく、といったところ。
でも、一時期よりもステイタスは下がったように感じます。
ベンツ、BMW、アウディ。やはりドイツ車は相変わらず強いです。
メインの車種はセダン。
SUV流行と聞いていましたが、割合的には日本と変わらない感じです。

中国の国産車も増えました。
しかも見栄え品質はそんなに悪くありません。
まあ、やっぱり「何かに似てるな」という印象はありますけど。
これと、アメリカ車が大量に走っているところが日本との大きな違いです。

そしてそれらがどんな風に走っているかというと…

『戦争』です。

引いた方が負け。

車線なんて気にしません。常に入り込める隙がないか、道行く全ての車が狙っています。
タクシーはずーっとクラクションを鳴らしながら走ります。
前方に他車に道を譲る優しい車がいたりすると猛烈にクラクションを鳴らして抗議します。
余計なことをしてオレ様の進路を塞ぐな、と。
バスですらクラクションで周りを脅します。
そこに電動スクーター。
レンタサイクル。
ふらふら歩く歩行者。
そしてもうひとつ、慣れない交通ルールがこの混乱に拍車をかけます。

交差点で右折する車は、信号に影響されません。
いつでも曲がって良いんです。

日本に置き換えれば、左折の車は信号を無視して良い、ということ。

歩行者がいようがいまいが、我先にと車が入ってきます。
当然、交差する直進車とも車線の取り合いになりますからもう、ぐちゃぐちゃです。

だから私は、車の運転が趣味、とは言っても中国で運転しようとは思えないんです。
でも… 長く中国にいることになるとなれば、そうも言ってはいられません。

中国は日本で取得できる「国際免許」では運転できません。
中国で運転したければ、その地で免許をとるしか無いんです。
日本の運転免許を持っていれば実技は免除してくれるそうです。
が、学科試験は中国語!
ま、日本語訳は付いているそうですが、その訳がデタラメなんだそうで、
その日本語を信用したら間違えてしまう、ということもあるんだそうです。
だから、中国語を覚えてから受けた方が良いよ、と蘇州に20年住む先輩から言われました。

ん〜、できれば運転はしたくないですけどね。
色々と不便だし、
趣味を奪われた感じもするし。

急激に車が増えた中国では、駐車場が少ないことも問題になっています。
なんでこんな広い国で、とも思いますが、そもそも今のような台数が存在することを
考慮して町づくりがなされた訳ではないので、すでに限界を超えているということらしいです。
どこへ行くにも車が必要な広大な土地で、行った先で駐車場に困る。

まあそこは心も寛大な中国の方々。
中にはあり得ない場所に停めちゃう人とかいたりして。
道路はさらに混乱を深めていくのでした。

それから今回の出張で明確に気付いたことがあります。
中国の都市って、どんなに近代化されていてもなんだか酷く暗くて汚い印象がつきまとうんです。
なぜなのかなー、といつも考えていましたが、
今回のように現地に根ざして良く観察してみると、2つの要素が見えてきました。

ひとつめは、暗さのワケ。
昼間は照明を点けないんですよ。
いや笑い事ではなく、本当にみんな。
それがたとえ商店だろうとレストランだろうと、営業してても暗いまま。
客が来ても点けませんよ。頼めば通るでしょうけど。
一般の家もそうです。
私の老眼には辛いつらい。
もちろん、こうこうと明かりを点ける施設も存在しますが、それでも少し照度は低い感じ。
理由は分かりません。理由なんて無いのかも。

さてふたつめ。
メンテナンスをしない、ということ。
建物も道路も、デザインやコンセプトなら日本とも大差ない気がします。
ま、細かいところの造り込みや仕事に対する誠実さには大きな違いを容易に実感できますが。
それでも、完成したばかりの建造物は奇麗なものなんだと思います。
さあ、そこからが問題。
だれも積極的に奇麗さを保とうとしたり、長持ちするよう丁寧に扱ったりしないんじゃないかな。
さらに工作精度が低いものだからすぐ壊れる。でも直さない。
どんどん壊れる。全然直さない。
そしてボロボロ。
この悪循環なんじゃないかなと思い至りました。

道路なんて酷いですよ。
穴ぼこだらけ。
夜なんか70kmくらいで知らずに穴に嵌ると車体に深刻なダメージを受ける可能性があります。
事故に繋がるかもと考えると、手を下さない行政に首を傾げることしかり。
(だからやっぱり、SUVに乗る事は理に適ってるんです。タイヤがでかいから穴をモノともしないッ)

なんかこんなことを考えるにつけ、中国にいる自分を実感したりしています。

あ、そういえば。
中国のドライバーって、実は結構運転がうまいのかもしれません。
それは無理だよ、ってところに駐車したり、
勘弁してくれよ、って言いたくなる狭い道でのすれ違いもぐいぐい行きます。
ただし、車体四隅の『コーナーセンサー』は絶対必要な装備です。
普通に道路を走っていても、そのセンサーがピーピーなっているのを聞いて
私は呆れて笑ってしまいました。


今日は職場からの帰り、スーパーとコンビニに寄って少しばかりの買いものをしましたが、
やっぱり中国語を喋れないと難しい、ということを思い知りました。

レジで表示されたカネを払えば問題無い、と思っていたのですが、
レジのおばちゃん、結構話しかけてくるんですね。
最初のスーパーでは、おばちゃんを無視してたら商品だけポイっと渡されました。
多分、袋がいるかと言って来たんでしょう。仕方ないので持参の書類鞄に押し込みました。
コンビニでも話しかけられましたが、「日本語しか話せません」と日本語で言ったところ、
困ったような笑顔を見せた後、手元の作業を続けるレジのおばちゃん。
何とかなったかな、と思ったのですがさにあらず。
横にいた客のおばちゃんが「袋はいりますか、って訊いてますよ」と日本語で教えてくれました。
その客は、恐らく日本人ではありません。なのでものすごい偶然です。
私は「いります、袋いります!」と返事。これも客のおばちゃんが中国語訳してくれました。
ちゃんと私の晩ご飯が袋に入ったのですが、レジのディスプレイには金額が表示されていません。
さて困った、いくら払えばいいんだろう?と思いかけていたところ、また客のおばちゃんが
「29元、って言ってますよ」と教えてくれました。
慌てて10元札を3枚レジのおばちゃんに渡してなんとか買いもの終了。
助けてくれた客のおばちゃんにお礼を日本語と中国語(謝謝)で言ってその場を去りました。
ちょっと無理かなあ、買いもの。
ため息です。前途多難。
(ちなみにスーパーでもコンビニでもレジ袋は有料です)

とりあえず夕陽に向かって色々感謝。
DSC05004.jpg

ま、なるようになるでしょう。
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